和食のプロを超速養成! オンラインで会席料理が学べる『和食プロネット』です。
この記事では、和食プロネットの有料会員様向けに配信しているレッスン動画の一部をお見せします。
今回はレッスンの47回目、「地鶏の幽庵焼き 鶏もも肉の準備 幽庵地の漬け込み ソースとあしらいの用意 調理 盛り付け 」の動画です。
今回は地鶏を使った焼き物料理として幽庵焼きを説明します。
幽庵焼きは本来魚の切り身でする焼き物料理ですが、 それを鶏肉に応用してゆう月ではサラダ仕立てで提供しています。
魚でも手順は全く一緒なので幽庵焼きの手順をしっかりとインプットしましょう。
それでは詳しく作り方を学んでいきましょう。
幽庵焼きの名称は江戸時代の茶人、北村祐庵が考案しました。
北村祐庵は江戸時代の1648年に現在の滋賀県大津市に生まれ、 その後江戸時代を代表する茶人、美食家となりました。
その祐庵が京都からのお客さまを招くとき醤油とみりんを素材にかけて時間をおき、それから焼いて提供した料理が好評だったことからこの調理法が広まり、のちに名前をとって幽庵焼きとなりました。
幽庵焼きの表記には、「幽庵」「柚庵」「祐庵」など 様々な表記がされます。
考案者の名前を取るのであれば正しくは「祐庵焼き」となりますが、 現在最も多く使われるのは「幽庵焼き」であり、 柚子を使っていることから「柚庵焼き」を当てられることもあります。
どれも間違いではありませんので、自身のなかで統一性や規則性を持って献立に表記するようにしましょう。
ゆう月では主に「柚庵焼き」と表記しています。
柚子を使っていることもありますが、 私が料理を学んだ師匠がこの表記にしていたことも大きく影響しているでしょう。
幽庵焼きの手順は幽庵地を作る、漬け込む、焼くという順です。
この流れはLESSON38ブリの焼き物で学んだ照り焼きと同じです。
まずは幽庵地作り。
材料は濃口醤油とみりんとお酒です。
この3つを同じ分量で合わせますが、 みりんとお酒は煮切りをしてアルコールを飛ばしていきましょう。
そこにスライスした柚子を3枚程度加え柚子の香りを地に加えます。
これで幽庵地が完成です。
照り焼きとの違いは砂糖が入らないことと煮詰めないこと。
この違いで幽庵焼きは程よく醤油の味が素材に移りつつ さっぱりとした焼き上がりに仕上がります。
素材を地につける時間は基本的に30分間。
ボウルなどによっては素材が浮いてくるので、漬けムラが出ないように途中で裏返すようにしましょう。
また素材が薄ければ漬ける時間を短くするなど、仕上がった料理を試食して自身の作る料理としての ベストの味付けを探っていきましょう。
素材が浸かったら串を打って火にかけます。
魚の切り身や小さくカットした鶏肉なら金串2本で平串を打つだけでいいですが 、鶏もも肉を1枚のまま焼くなど大きなものを焼く場合は、中央に1本串をうちそこから左右均等に串を末広に打ちます。
もも肉なら合計5本ぐらい、 焼く時に素材が崩れたり曲がったりしない程度の串を打つようにしましょう。
焼く手順はこれまで学んだ通り皮面を4割、身を4割、再度皮面を2割で仕上げます。
鶏肉であれば火が通りにくいことや生焼けでの食中毒を防ぐためにも、 遠火でじっくりと焼き最後に少し近づけて香ばしく仕上げるようにします。
前回の若草焼きではあえて素材に味をつけソースを無くすという調理にしましたが、 今回の料理はサラダ仕立て。
ほんの少量のソースをかけることで 会席料理の一品としてアクセントを加えています。
もちろん素材自体に味を含ませているので、このように そのまま盛り付けて提供しても十分に一品として提供が可能です。
今回のソースは醤油とみりんとお酒の同割を煮詰めてとろみをつけたシンプルなソースで照り焼きのタレをさらに凝縮させたようなものです。
コクを加えるために砂糖の代わりに黒蜜を加えて、 仕上がりに柚子胡椒を混ぜ合わせます。
これでピリッと唐辛子の風味がアクセントになり、 鶏肉以外の野菜にも味を加えることができます。
それでは材料の説明、そして調理手順へ進みましょう。
もも肉を用意し、身の部分に軟骨や余分な脂分があれば切り取り、関節より先の部分の白い筋に切り込みを入れて断ち切っておきます。
身の厚い部分に削ぐように包丁を入れて開き、身の厚さを均等にして、1枚300gのもも肉で3つに切り分け1人前100g程度にしておきましょう。
鶏肉の準備ができたら、身を下にして地に20分浸けます。
20分経ったら裏返してさらに10分、合計30分漬けましょう。
続いて、フライパンに濃口醤油100cc みりん100cc 酒100ccを合わせます。
そこに黒蜜を30cc 加えに火かけ、沸騰したら吹きこぼれない程度に火を弱めて煮詰めていきましょう。
粘り気のある泡に代わってきたら火を止めてザルで越し、柚子胡椒20gを加えて混ぜ合わせ、柚子胡椒の詰醤油ソースを作っておきます。
照り焼きを学んでるのでお分かりだと思いますが、 漬け地と掛け地を分けましょう。
生の素材を漬けた地は食中毒菌が仕上げに移る危険性もありますし、 生臭さも焼き上がりの素材に移ってしまします。
なので幽庵地を分けて使うようにしましょう。
幽庵地は照り焼きのように使い回すことが好ましくありません。
なので前日掛けじに使ったものを翌日漬け地にして 掛け地を新しく作ると言ったサイクルを作ると 無駄が少なくなるのでいいでしょう。
鶏肉の下処理、たれの準備もできたら早速、焼いていきましょう!
焼く手順はこれまで学んだ通り皮面を4割、身を4割、再度皮面を2割で仕上げます。
鶏肉であれば火が通りにくいことや生焼けでの食中毒を防ぐためにも、 遠火でじっくりと焼き最後に少し近づけて香ばしく仕上げるようにします。
幽庵地には醤油やみりんが入っているので素材が焦げやすくなります。
なので焼いている時は常に火加減、焼き具合に注意して焦げないようにしましょう。
照り焼き同様、仕上げには幽庵地をかけながら焼いて仕上げます。
通常は4回程度ですが、素材の照り具合や味を見て 回数を探っていきましょう。
全ての調理工程が終わったら最後は盛り付けです。
大黒本しめじの傘に少し包丁を入れて指で割き、鶏肉を食べやすい大きさにカット。
平皿を用意しベビーリーフを中央に盛り、その上に鶏肉を盛ります。
大黒本しめじを天盛りし前後に賀茂なすを添え、 花蓮根せんべいを盛り付けます。
詰醤油ソースをスプーンで回すように料理の周りにかけ、少し料理にもかけます。
最後にクレソンを手前に添え柚子の皮をおろし金ですってふりかけ完成です。
今回は鶏肉で幽庵焼きを説明しましたが、 手順は魚でも一緒なので焼き魚でも練習してみましょう。 家庭用のコンロのグリルやオーブントースターでは火が近く、焦げてしまうなど焼き加減が難しいかもしれませんが、 鶏肉や魚の切り身を薄くすることで、家庭でも表面が焦げる前に火が通り仕上げることもできます。
また、可能であればぜひ炭火焼きに挑戦してみてください。
グリラーの火よりも意外と焦げにくいことも気づいていただけると思います。
会席料理大学 和食プロネットについて
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会席料理大学和食プロネット代表 兼 料亭 ゆう月 会席料理人
通山 直人 (とおやま なおと)
1979年京都府福知山市生まれ
2002年 大学在学中にアルバイトでホテルの調理場へ
2002年 卒業と同時に正社員として和食部門で勤務開始
2005年 料理長として料亭 ゆう月を営業開始
2014年 生け花を始め店内のプロデュースを開始
2016年 サイト・SNS・パンフレットの写真撮影を開始
2019年 動画制作・YouTubeチャンネル本格運用開始
料亭 ゆう月
京都府綾部市にある完全予約制の会席料理店です。
公式サイト https://www.ioriyuzuki.com
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